「ベクトルデータベース」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
AI検索やRAG(検索拡張生成)に欠かせない、AI時代の新しいデータベースだ。仕組みから選び方まで解説する。
ベクトルデータベースとは
ベクトルデータベースは、ベクトル(埋め込み)データを格納し、類似度検索を高速に行うためのデータベースだ。
| 項目 | 従来のDB | ベクトルDB |
|---|---|---|
| データ形式 | 文字列、数値 | ベクトル(数値配列) |
| 検索方法 | 完全一致、部分一致 | 類似度検索 |
| 「車」と「自動車」 | 別の単語 | 類似として検出 |
| 主な用途 | CRUD操作 | AI検索、RAG |
ベクトルって何ですか?
テキストや画像を数値の配列(例:[0.1, 0.5, 0.3, ...])に変換したものです。「埋め込み(Embedding)」とも呼ばれます。意味が似ているものは、ベクトル空間上で近い位置になります。
なぜ必要なのか
従来の検索の限界
従来のキーワード検索では、「車」と「自動車」は別の単語として扱われる。ユーザーが求める情報を見つけられないことがある。
ベクトル検索の強み
意味的に類似したデータを検索できる。
- 「おすすめの旅行先」→「人気の観光地」も検索結果に
- 「予算が足りない」→「コスト削減」「経費節約」も関連として表示
- 類似商品の推薦
- 顔画像から似た顔を検索
RAGとの関係
RAG(Retrieval Augmented Generation)は、LLMに外部知識を与える手法だ。
RAGの仕組み
- ユーザーの質問をベクトル化
- ベクトルDBで関連文書を検索
- 検索結果をLLMのプロンプトに追加
- LLMが回答を生成
- LLMの知識を最新情報で補完
- 社内文書を活用した回答が可能
- ハルシネーション(誤情報生成)を軽減
主要サービス比較
Pinecone
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | フルマネージド |
| 料金 | 無料枠あり、従量課金 |
| 特徴 | スケーラブル、高可用性 |
| 向いている | 本番環境、大規模利用 |
Weaviate
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | オープンソース |
| 料金 | セルフホスト無料、マネージド有料 |
| 特徴 | GraphQL対応、モジュラー設計 |
| 向いている | カスタマイズ、オンプレミス |
Chroma
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | オープンソース |
| 料金 | 無料 |
| 特徴 | 軽量、シンプル、Python向け |
| 向いている | プロトタイプ、ローカル開発 |
pgvector
PostgreSQLの拡張機能。既存のPostgreSQLにベクトル検索機能を追加できる。
どれを選べばいいですか?
用途によります。プロトタイプならChroma、本番環境ならPineconeかWeaviate、既存のPostgreSQLがあるならpgvectorがおすすめです。
活用事例
社内文書検索
社内のマニュアルやドキュメントをベクトル化し、自然言語で検索できるシステム。
カスタマーサポート
過去の問い合わせと回答をベクトルDBに格納し、類似の質問に自動回答。
商品レコメンド
商品の特徴をベクトル化し、ユーザーの好みに類似した商品を推薦。
画像検索
画像をベクトル化し、類似画像を検索。ECサイトでの「似た商品を探す」機能など。
導入のステップ
- ユースケースの明確化
- データの準備(文書、画像など)
- 埋め込みモデルの選定
- ベクトルDBの選定
- インデックス作成・データ投入
- 検索APIの実装
AI導入を検討する企業は、合同会社四次元のような専門家に相談することをおすすめする。
まとめ
ベクトルデータベースは、AI時代の検索インフラだ。
- 意味的な類似度でデータを検索
- RAG(検索拡張生成)に必須
- Pinecone、Weaviate、Chromaが代表的
- 社内検索、レコメンド、サポートで活用
- LLMと組み合わせて価値を発揮
AIを活用するなら、ベクトルデータベースの理解は必須だ。
よくある質問(記事のおさらい)
通常のDBはキーワード一致で検索しますが、ベクトルDBは意味的な類似度で検索します。「車」と「自動車」を類似として扱えます。
一般的なRAG実装ではベクトルDBを使います。ユーザーの質問に関連する文書を高速に検索するために必要です。
プロトタイプならChroma、本番環境ならPineconeかWeaviate、既存PostgreSQLがあるならpgvectorがおすすめです。