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自然言語処理(NLP)とは?AIが言葉を理解する仕組みを解説
AI用語解説

自然言語処理(NLP)とは?AIが言葉を理解する仕組みを解説

2025-11-17
2025-12-10 更新

ChatGPT、翻訳AI、音声アシスタント——これらはすべて「自然言語処理」という技術で動いています。AIが人間の言葉を理解し、生成する仕組みを、タスク別にわかりやすく解説します。

ChatGPTと会話する、Google翻訳で外国語を訳す、Siriに話しかける——

これらはすべて、「自然言語処理(NLP)」という技術によって実現しています。

この記事では、AIが人間の言葉を扱う技術「自然言語処理」について、仕組みからビジネス活用までわかりやすく解説します。

自然言語処理(NLP)とは?

一言で言うと

自然言語処理は、人間が日常的に使う言語(自然言語)を、コンピュータで処理・理解・生成する技術です。

「自然言語」とは、日本語、英語、中国語など、人間社会で自然に発展してきた言葉のこと。プログラミング言語のような「人工言語」とは区別されます。

読者
読者

なぜ「自然」言語って呼ぶんですか?

吉村(AIコンサルタント)
吉村(AIコンサルタント)

人間が長い歴史の中で自然に発達させてきた言語だからです。プログラミング言語やエスペラント語のように、人間が意図的に設計した言語は「人工言語」と呼ばれます。自然言語は曖昧さや例外が多く、コンピュータで扱うのが難しいんです。

NLPの2つの側面

自然言語処理は、大きく2つの分野に分けられます。

1. 自然言語理解(NLU)

テキストや音声の「意味」を理解する技術。

  • 文章の感情を判定する
  • 質問の意図を理解する
  • 文脈を把握する

2. 自然言語生成(NLG)

人間が読める文章を「生成」する技術。

  • 回答文を作成する
  • 記事を執筆する
  • コードを生成する

ChatGPTは、NLU(理解)とNLG(生成)の両方を高いレベルで実現しています。

自然言語処理の主なタスク

NLPには様々なタスク(処理の種類)があります。

1. テキスト分類

文章をカテゴリに分類するタスク。

用途例

  • スパムメール検出
  • 感情分析(ポジティブ/ネガティブ)
  • ニュース記事のカテゴリ分類
  • カスタマーレビューの分類

2. 感情分析

文章に込められた感情や意見を判定するタスク。

  • 入力: 「この商品、最高でした!」
  • 出力: ポジティブ(90%)

用途例:SNS分析、ブランドモニタリング、顧客満足度調査

3. 固有表現認識(NER)

文章から人名、地名、組織名などの固有表現を抽出するタスク。

  • 入力: 「田中さんは東京のGoogle本社で働いています」
  • 出力:
    • 人名: 田中
    • 地名: 東京
    • 組織名: Google

用途例:情報抽出、知識グラフ構築、文書検索

4. 機械翻訳

ある言語を別の言語に翻訳するタスク。

用途例:Google翻訳、DeepL、ビジネス文書翻訳

5. 質問応答

質問に対して適切な回答を生成するタスク。

用途例チャットボット、FAQ自動応答、検索エンジン

6. 文章要約

長い文章を短くまとめるタスク。

用途例:ニュース要約、議事録作成、レポート圧縮

7. テキスト生成

プロンプトに基づいて文章を生成するタスク。

用途例:記事作成、コード生成、メール文面作成

LLMの登場で変化

以前は各タスクに特化したモデルが必要でしたが、ChatGPTClaudeのような大規模言語モデル(LLM)は、1つのモデルで多くのタスクを高精度にこなせるようになりました。

自然言語処理の仕組み

基本的な処理の流れ

  1. 生のテキストを入力
  2. 前処理:トークン化、正規化
  3. 解析:形態素解析、構文解析
  4. 処理:分類、生成、変換
  5. 出力:結果の生成

1. トークン化

テキストを最小単位(トークン)に分割する処理。

  • 英語: "Hello world" → ["Hello", "world"]
  • 日本語: "今日は天気がいい" → ["今日", "は", "天気", "が", "いい"]

2. 形態素解析

単語の品詞(名詞、動詞、形容詞など)を特定する処理。

「猫が走る」 → 猫(名詞)+ が(助詞)+ 走る(動詞)

3. 構文解析

文の構造(主語・述語の関係など)を解析する処理。

4. 意味解析

文章の「意味」を理解する処理。エンベディングを使って、文章を数値ベクトルに変換します。

読者
読者

日本語はNLPにとって難しいんですか?

吉村
吉村

比較的難しい言語とされています。単語間にスペースがない、主語が省略されやすい、同音異義語が多いなどの特徴があるからです。ただ、最新のLLMは日本語もかなり高精度に処理できるようになっています。

NLPの進化の歴史

ルールベース時代(〜1990年代)

人間が文法ルールを手作業で定義。柔軟性が低く、例外処理が困難。

統計的手法時代(2000年代)

大量のデータから統計的にパターンを学習。精度が向上。

ディープラーニング時代(2010年代)

RNN、LSTM、CNNなどのディープラーニング技術で飛躍的に進化。

Transformer/LLM時代(2017年〜現在)

Transformerアーキテクチャの登場で革命的進化。BERT、GPT、ChatGPTなどが誕生。

技術/モデル インパクト
2017 Transformer Attention機構による革命
2018 BERT 双方向文脈理解
2020 GPT-3 1750億パラメータの巨大モデル
2022 ChatGPT 対話型AIの一般普及
2024 GPT-4、Claude 3、Gemini マルチモーダル対応

ビジネス活用事例

カスタマーサポート

  • チャットボット:24時間対応の自動応答
  • FAQシステム:質問に自動で回答
  • 感情分析:顧客の不満を早期検出

文書処理

  • 議事録自動生成:音声から文字起こし+要約
  • 契約書レビュー:重要条項の自動抽出
  • メール分類:優先度や担当者の自動振り分け

マーケティング

  • SNS分析:ブランドへの評判をモニタリング
  • コンテンツ生成:商品説明、広告文の作成
  • パーソナライゼーション:ユーザーに合わせた文章配信

医療・法務

  • 医療文書解析:電子カルテの情報抽出
  • 法律文書分析:判例の検索・要約
  • リスク検出:コンプライアンス違反の検出

NLPの課題

1. 曖昧さの処理

「彼女は頭がいい」の「頭がいい」は、知性?容姿?文脈によって意味が変わります。

2. 文化・言語依存

言語や文化によって表現が異なり、翻訳や感情分析の精度に影響します。

3. 幻覚(ハルシネーション)

LLMが事実と異なる情報を自信を持って生成してしまう問題。

4. バイアス

学習データに含まれる偏見が、AIの出力に反映されるリスク。

吉村
吉村

NLPは急速に進化していますが、まだ完璧ではありません。AIの出力を盲信せず、人間によるチェックを組み合わせることが重要です。

まとめ:言葉を扱うAIの基盤技術

自然言語処理(NLP)は、AIが人間の言葉を理解し生成するための技術です。

NLPの重要ポイント:

  • 自然言語の処理・理解・生成を行う技術
  • NLU(理解)とNLG(生成)の2つの側面
  • 分類、感情分析、翻訳、要約など多様なタスク
  • トークン化→解析→処理→出力の流れ
  • Transformer/LLMの登場で革命的に進化
  • カスタマーサポート、文書処理など幅広いビジネス活用

ChatGPTの普及により、NLPはビジネスでも身近な技術になりました。仕組みを理解して、効果的に活用していきましょう。

Tags

自然言語処理 NLP LLM AI基礎
吉村 この記事の筆者

吉村

AI INSIGHT

大学でIT教育に20年携わり、わかりやすい解説に定評あり。現在は合同会社四次元にてAI初心者向けの入門コンテンツを担当。

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