AI
AI INSIGHT 経営課題をAIで解決|経営者のためのAIメディア
ニューラルネットワークとは?AIの「脳」を初心者向けに解説
AI用語解説

ニューラルネットワークとは?AIの「脳」を初心者向けに解説

2025-10-31
2025-12-10 更新

ChatGPTも画像認識も自動運転も——現代AIの中核にあるのが「ニューラルネットワーク」です。人間の脳を模した仕組みを、図解でわかりやすく解説します。

「ニューラルネットワーク」という言葉、AI関連のニュースでよく目にしますよね。

ChatGPTも、画像認識も、音声アシスタントも——現代AIのほとんどは、ニューラルネットワークという技術がベースになっています。

この記事では、AIの「脳」ともいえるニューラルネットワークについて、初心者向けにわかりやすく解説します。

ニューラルネットワークとは?

一言で言うと

ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路(ニューロン)を模した数学モデルです。

人間の脳では、約1000億個のニューロン(神経細胞)が相互に接続され、電気信号をやり取りして「考える」「認識する」といった処理を行っています。

ニューラルネットワークは、この仕組みをコンピュータ上で再現したものです。

読者
読者

人間の脳を完全に再現しているんですか?

吉村(AIコンサルタント)
吉村(AIコンサルタント)

完全ではありません。脳の仕組みからヒントを得た「数学モデル」です。人間の脳には1000億個のニューロンがありますが、大規模なニューラルネットワークでも数千億の「パラメータ」程度。また、脳とは動作原理も大きく異なります。

2024年ノーベル物理学賞を受賞

ニューラルネットワークの重要性を示す出来事として、2024年のノーベル物理学賞が「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明」に授与されました。

受賞者はジョン・ホップフィールド教授とジェフリー・ヒントン教授。この技術がいかに世界を変えたかを象徴する出来事です。

ニューラルネットワークの基本構造

3つの層

ニューラルネットワークは、3種類の「層(レイヤー)」で構成されています。

[入力層][隠れ層][出力層]

1. 入力層(Input Layer)

データを受け取る層です。画像なら各ピクセルの値、テキストなら単語の数値表現が入力されます。

2. 隠れ層(Hidden Layer)

入力を処理して特徴を抽出する層です。「隠れ」と呼ばれるのは、外からは見えない内部処理を行うから。

3. 出力層(Output Layer)

最終的な結果を出力する層です。「猫の確率90%」「スパムの確率5%」のような形で結果が出ます。

ディープラーニングとの関係

隠れ層が2層以上(全体で4層以上)のニューラルネットワークを「ディープニューラルネットワーク」と呼び、これを使った学習が「ディープラーニング」です。現在のAIのほとんどはディープラーニングです。

ニューロンと重み

各層は複数の「ニューロン(ノード)」で構成されています。

入力層のニューロン(○)が隠れ層のニューロン(○)と接続し、さらに出力層のニューロン(○)へと信号が伝達されます。

ニューロン間の接続には「重み(Weight)」があります。これは人間の脳でいう「シナプスの強度」に相当し、情報の伝わりやすさを決定します。

活性化関数

ニューロンが「発火」するかどうかを決めるのが「活性化関数」です。

入力重み付け計算活性化関数出力

活性化関数がないと、どれだけ層を重ねても単純な線形計算にしかなりません。活性化関数を入れることで、複雑な非線形パターンを学習できるようになります。

活性化関数 特徴 主な用途
ReLU 正なら値をそのまま、負なら0 隠れ層(最も一般的)
Sigmoid 0〜1に圧縮 二値分類の出力層
Softmax 確率分布に変換 多クラス分類の出力層
Tanh -1〜1に圧縮 隠れ層(一部で使用)

ニューラルネットワークの学習

学習とは「重みの調整」

ニューラルネットワークの「学習」とは、適切な出力が得られるように重みを調整することです。

  1. データを入力
  2. 出力を計算(順伝播)
  3. 正解との差(損失)を計算
  4. 重みを少しずつ調整(逆伝播)
  5. 1〜4を繰り返す

バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)

重みの調整には「バックプロパゲーション」という手法が使われます。

出力層から入力層に向かって、「どの重みがどれくらい誤差に影響したか」を逆算し、影響の大きい重みほど大きく修正します。

読者
読者

どれくらい学習すれば賢くなるんですか?

吉村
吉村

データ量とモデルサイズによります。GPT-3は数千億の単語で学習し、1750億のパラメータを持っています。学習には数週間〜数ヶ月、数千万ドルのコストがかかることもあります。

ニューラルネットワークの種類

用途に応じて、様々な構造のニューラルネットワークが開発されています。

1. 全結合型(Fully Connected / Dense)

基本的な構造。各層のすべてのニューロンが次の層のすべてのニューロンと接続。

用途:分類、回帰など汎用的

2. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

画像処理に特化した構造。局所的な特徴(エッジ、形状など)を効率的に抽出。

用途:画像認識、物体検出、顔認識

3. 再帰型ニューラルネットワーク(RNN)

時系列データを扱える構造。過去の情報を「記憶」して次の処理に活かす。

用途:音声認識、翻訳、時系列予測

4. Transformer

「Attention」機構で文脈を理解する構造。RNNより並列処理が得意。

用途ChatGPTClaudeGeminiなどの大規模言語モデル

→ 詳しくは「Transformerとは?」をご覧ください

現在のトレンド

2024年現在、言語処理ではTransformer、画像処理ではCNN(またはViT)、時系列ではTransformerベースのモデルが主流です。

ニューラルネットワークの活用事例

画像認識

  • 顔認証(スマートフォンのロック解除)
  • 医療画像診断(X線、CT画像の異常検出)
  • 自動運転(歩行者・信号・標識の認識)

自然言語処理

  • チャットボット(カスタマーサポート)
  • 機械翻訳(Google翻訳など)
  • 文章生成(記事作成、コード生成)

音声処理

  • 音声認識(Siri、Alexa)
  • 音声合成(テキスト読み上げ)
  • 音楽生成

その他

  • レコメンデーション(Netflix、Spotify)
  • 異常検知(不正検出、故障予知)
  • ゲームAI(囲碁、チェス)

ニューラルネットワークの限界

1. 解釈性の低さ

なぜその出力になったのか、内部の処理を人間が理解するのは困難です。これを「ブラックボックス問題」と呼びます。

2. 大量のデータが必要

高精度なモデルには大量の学習データが必要です。データが少ない領域では性能が出にくい傾向があります。

3. 計算コスト

大規模モデルの学習には膨大な計算リソースが必要です。環境負荷やコストの面で課題があります。

4. 幻覚(ハルシネーション)

事実と異なる情報を自信を持って出力することがあります。これは特にLLMで問題になっています。

吉村
吉村

ニューラルネットワークは万能ではありませんが、その限界を理解した上で活用すれば、非常に強力なツールになります。

まとめ:AIの基盤技術を理解する

ニューラルネットワークは、現代AIの中核をなす技術です。

ニューラルネットワークの重要ポイント:

  • 人間の脳の神経回路を模した数学モデル
  • 入力層・隠れ層・出力層の3層構造
  • 重みと活性化関数で複雑なパターンを学習
  • CNN、RNN、Transformerなど用途別の構造
  • 画像認識、言語処理、音声処理など幅広く活用
  • 2024年ノーベル物理学賞の対象に

AI技術を活用するなら、その基盤となるニューラルネットワークの基本を知っておくことで、より深い理解と適切な活用につながります。

Tags

ニューラルネットワーク 機械学習 ディープラーニング AI基礎
吉村 この記事の筆者

吉村

AI INSIGHT

大学でIT教育に20年携わり、わかりやすい解説に定評あり。現在は合同会社四次元にてAI初心者向けの入門コンテンツを担当。

この記事をシェアする

記事一覧に戻る