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MCP(Model Context Protocol)とは?AIとツールをつなぐ新標準を解説
AI用語解説

MCP(Model Context Protocol)とは?AIとツールをつなぐ新標準を解説

2025-11-19
2025-12-10 更新

「AIアプリのUSB-Cポート」——MCPは、LLMと外部ツール・データソースを標準化された方法で接続するオープンプロトコルです。Anthropic発、業界標準となりつつある技術を解説します。

ChatGPTとGoogle Drive、ClaudeとSlack、GeminiとGitHub——AIと様々なツールを連携させたいとき、それぞれバラバラの実装が必要でした。

MCP(Model Context Protocol)は、この問題を解決するために生まれたオープンプロトコルです。

この記事では、AIエコシステムの新標準として急速に普及しているMCPについて解説します。

MCPとは?

一言で言うと

MCPは、LLM(大規模言語モデル)と外部ツール・データソースを、標準化された方法で接続するためのオープンプロトコルです。

Anthropicはこれを「AIアプリケーションのUSB-Cポート」と表現しています。USB-Cがあらゆるデバイスを統一規格で接続できるように、MCPはあらゆるAIアプリケーションとツールを標準的な方法で接続します。

読者
読者

Function Callingとは何が違うんですか?

吉村(AIコンサルタント)
吉村(AIコンサルタント)

Function Callingは各LLMベンダーが個別に実装している機能です。MCPはそれを標準化し、「一度作ったツール連携を、どのLLMでも使い回せる」ようにするオープンプロトコルです。

MCPが解決する問題

従来、AIと外部ツールを連携させるには「M×N問題」がありました。

【従来の問題:M×N問題】
M個のAIモデル × N個のツール = M×N個のカスタム実装

例:3つのLLM × 5つのツール = 15個の個別実装が必要

MCPはこれを「M+N問題」に変えます。

【MCPによる解決:M+N問題】
M個のAIモデル + N個のMCPサーバー = M+N個の実装で済む

例:3つのLLM + 5つのMCPサーバー = 8個の実装で済む

MCPの歴史と普及

急速な普及

時期 出来事
2024年11月 Anthropicがオープンソースとして公開
2025年2月 1,000以上のMCPサーバーが開発される
2025年3月 OpenAIがMCPの採用を発表
2025年4月 GoogleもGeminiでのサポートを表明
2025年現在 16,000以上のMCPサーバーが存在

わずか半年で、MCPは業界標準として認められる存在になりました。

採用企業・サービス

LLMプロバイダー

  • Anthropic(Claude)
  • OpenAI(ChatGPT)
  • Google(Gemini)

開発ツール

  • Microsoft(VS Code、Copilot Studio)
  • Replit
  • Codeium
  • Sourcegraph
  • Zed

エンタープライズ

  • Block(旧Square)
  • Apollo

MCPの仕組み

アーキテクチャ

MCPはクライアント-サーバー型のアーキテクチャを採用しています。

┌─────────────────┐     ┌─────────────────┐
│  MCPクライアント │     │   MCPサーバー    │
│  (AIアプリ側)  │ ←→ │  (ツール側)    │
│                 │     │                 │
│ Claude Desktop  │     │ GitHub サーバー  │
│ VS Code         │     │ Slack サーバー   │
│ カスタムアプリ   │     │ DB サーバー      │
└─────────────────┘     └─────────────────┘
        ↑                       ↑
        └───── JSON-RPC 2.0 ────┘

通信プロトコル

MCPはJSON-RPC 2.0に基づいて通信します。トランスポート層として以下をサポート:

  • stdio:標準入出力(ローカル実行向け)
  • HTTP + SSE:Webベースの通信(リモート実行向け)

MCPサーバーが公開する要素

MCPサーバーは主に3種類の要素を公開します。

1. Tools(ツール)

外部機能を呼び出すための定義。

{
  "name": "send_slack_message",
  "description": "Slackにメッセージを送信します",
  "parameters": {
    "channel": "送信先チャンネル",
    "message": "メッセージ内容"
  }
}

2. Resources(リソース)

LLMのコンテキストとして提供できるデータ。

  • ドキュメントの内容
  • データベースのスキーマ
  • ファイルの中身

3. Prompts(プロンプト)

特定タスク用のプロンプトテンプレート。

"code_review": "以下のコードをレビューし、改善点を指摘してください: {code}"

MCPの使い方

対応クライアント

Claude Desktop

最も簡単にMCPを試せる環境です。設定ファイルにMCPサーバーを追加するだけで利用可能。

VS Code

GitHub Copilotのエージェントモードと統合されています。

カスタムアプリケーション

Python、TypeScript、C#、JavaのSDKが提供されています。

公式MCPサーバー

Anthropicが提供する構築済みサーバー:

サーバー 機能
filesystem ローカルファイルの読み書き
github GitHubリポジトリ操作
slack Slackメッセージ送受信
google-drive Googleドライブ操作
postgres PostgreSQLデータベース接続
puppeteer ブラウザ自動操作

設定例(Claude Desktop)

{
  "mcpServers": {
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-filesystem",
        "/path/to/allowed/directory"
      ]
    }
  }
}

この設定だけで、Claudeがローカルファイルを参照できるようになります。

MCPのメリット

1. 標準化による再利用性

一度作ったMCPサーバーは、Claude、ChatGPT、Geminiなど、どのLLMからも利用可能。

2. オープンソース

MITライセンスで公開されており、自由にカスタマイズ・拡張が可能。

3. セキュリティ

ツールごとにアクセス権限を細かく制御できます。

4. 豊富なエコシステム

16,000以上のMCPサーバーが既に存在し、多くのユースケースに対応。

5. 自然言語での操作

複雑なAPIを意識せず、自然言語でツールを操作できます。

読者
読者

セキュリティ面は大丈夫なんですか?

吉村
吉村

2025年4月にセキュリティ研究者から指摘があり、プロンプトインジェクションやツール権限の問題が報告されました。2025年6月のアップデートでOAuth認証の強化など対策が進んでいますが、企業利用では慎重な権限設定が必要です。

MCP vs Function Calling

項目 MCP Function Calling
標準化 オープン標準 ベンダー固有
再利用性 異なるLLMで共用可能 各LLM用に実装が必要
エコシステム 16,000+サーバー 個別実装
設定方法 宣言的(設定ファイル) 命令的(コード)
対応範囲 ツール+リソース+プロンプト 主にツール

MCPの実践例

開発ワークフロー

ユーザー:「GitHub上のこのリポジトリのREADMEを更新して」

↓ Claude(MCPクライアント)→ GitHub MCPサーバー

  1. リポジトリの内容を取得
  2. README.mdを読み込み
  3. 更新内容を生成
  4. プルリクエストを作成

結果:「READMEを更新するプルリクエストを作成しました」

データ分析ワークフロー

ユーザー:「先月の売上データをSlackで共有して」

↓ Claude

  1. Postgres MCPサーバー → 売上データ取得
  2. データ分析・サマリー作成
  3. Slack MCPサーバー → 結果を投稿

結果:「先月の売上サマリーを#salesチャンネルに投稿しました」

今後の展望

A2Aプロトコルとの関係

2025年4月、GoogleはA2A(Agent-to-Agent)プロトコルを発表しました。

  • MCP:AIとツールの接続
  • A2A:AI同士の連携

両者は補完関係にあり、MCPがツール連携の標準、A2Aがエージェント間通信の標準として共存する可能性があります。

AIエージェントの基盤

MCPは、複数のツールを組み合わせて複雑なタスクを実行する「AIエージェント」の基盤技術として発展しています。

【AIエージェントの構成】

LLM(頭脳) ↓ MCP ↓ ツール群(手足)

  • ファイル操作
  • DB操作
  • API呼び出し
  • ブラウザ操作
吉村
吉村

MCPは、AIを「知識を持つ存在」から「実際に行動できる存在」へと進化させる重要なインフラです。2025年以降、AIアプリケーション開発の標準として定着していくでしょう。

まとめ:AIエコシステムの新標準

MCPは、AIと外部ツールを接続するためのオープンプロトコルです。

MCPの重要ポイント:

  • Anthropicが2024年11月に公開したオープン標準
  • 「AIアプリのUSB-Cポート」として標準化を推進
  • OpenAI、Googleも採用し業界標準に
  • クライアント-サーバー型、JSON-RPC 2.0ベース
  • Tools、Resources、Promptsの3種類を提供
  • 16,000以上のMCPサーバーが既に存在
  • AIエージェント開発の基盤技術として発展中

MCPにより、AIは単なる「チャット相手」から、実際に仕事をこなす「デジタルワーカー」へと進化しています。

Tags

MCP Model Context Protocol Anthropic AIエージェント
吉村 この記事の筆者

吉村

AI INSIGHT

大学でIT教育に20年携わり、わかりやすい解説に定評あり。現在は合同会社四次元にてAI初心者向けの入門コンテンツを担当。

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