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日本AI法と韓国AI基本法が始動|2026年規制時代の企業対応ガイド
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日本AI法と韓国AI基本法が始動|2026年規制時代の企業対応ガイド

2026-01-31
2026-01-31 更新

日本のAI新法と韓国のAI基本法が動き始めました。日本企業が今すぐ対応すべきポイントと、国際取引における注意点を解説します。

「AI規制」という言葉を、ニュースで見かける機会が増えていませんか?

2025年6月に日本初のAI法が公布され、2026年1月には韓国のAI基本法が施行。さらに米国カリフォルニア州でも同時期にAI透明性法が運用を開始しています。

アジアの2大経済圏で同時にAI規制が動き出した今、日本企業はどう対応すべきなのでしょうか。この記事では、各国の規制内容と企業が取るべき具体的なアクションを解説します。

日本AI新法の概要|イノベーション優先の設計

法律の正式名称と施行日

読者
読者

日本にもAI法ができたんですか?

森川(コンサルタント)
森川(コンサルタント)

はい。2025年5月28日に国会で可決され、6月4日に公布されました。正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」です。

日本初のAI専門法は、イノベーション促進を重視したソフトな規制が特徴です。2025年9月1日に「AI戦略本部」の設置条項が施行され、本格的な運用が始まっています。

日本AI新法の基本情報:

項目 内容
正式名称 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律
公布日 2025年6月4日
施行日 原則公布日(一部2025年9月1日)
罰則 なし
アプローチ ガイドライン・自主規制重視

企業への直接的な義務はない

読者
読者

企業は何か義務を負うんですか?

森川
森川

実は、民間事業者に対する直接的な義務規定はありません。この法律は主に国・政府の責務を定めるもので、企業への罰則規定もゼロです。

EU AI法とは対照的に、日本のAI法は以下の特徴を持っています:

  • 企業への罰金・制裁規定なし
  • 高リスクAIの分類・規制なし
  • 透明性・説明可能性の義務なし
  • 被害者救済のメカニズムなし
ネーム・アンド・シェイム方式

罰則がない代わりに、当局は助言の発行、情報の要求、不遵守企業名の公開(いわゆる「ネーム・アンド・シェイム」)を行う権限を持っています。社会的評判へのリスクが実質的な抑止力となる設計です。

AI戦略本部の役割

2025年9月1日に設置された「AI戦略本部」は、首相官邸に置かれた司令塔組織です。9月13日の初会合では、以下の4つの柱を中心としたAI基本計画の策定が始まりました:

  • 介護・看護ロボット
  • 監視システム
  • 産業応用
  • 研究開発促進

韓国AI基本法|罰則ありの本格規制

アジア初の包括的AI規制

読者
読者

韓国の法律は日本と何が違うんですか?

森川
森川

韓国のAI基本法は2026年1月22日に施行されました。罰則規定があり、域外適用もある点で、日本とは大きく異なります。

韓国は19の個別AI関連法案を統合し、アジアで初めて包括的なAI規制法を制定しました。

韓国AI基本法の基本情報:

項目 内容
正式名称 人工知能の発展と信頼の構築に関する基本法
可決日 2024年12月26日
施行日 2026年1月22日
罰則 あり(猶予期間付き)
域外適用 あり

高影響AIと生成AIへの規制

韓国AI基本法の特徴は、「高影響AI」と「生成AI」に対する具体的な義務を定めている点です。

高影響AI(High-Impact AI)の対象分野:

  • 医療
  • エネルギー
  • 公共サービス
  • 金融
  • 教育

生成AIへの義務:

  • AI生成コンテンツの表示義務
  • 訓練データに関する情報開示
  • ユーザー保護措置
罰則の猶予期間

科学技術情報通信部(MSIT)は、罰則の適用に猶予期間を設けています。この間、企業が法律を正しく解釈・適用できるよう支援する方針です。ただし、猶予期間終了後は厳格な執行が予想されます。

域外適用の範囲

読者
読者

日本企業も韓国の法律に従う必要がありますか?

森川
森川

韓国市場にAIサービスを提供している場合は、はい。韓国AI基本法は「大韓民国の国内市場又は利用者に影響を及ぼす海外でのいかなる活動にも適用される」と明記しています。

つまり、以下の日本企業は韓国AI基本法の対象となる可能性があります:

  • 韓国向けにAIサービスを提供している企業
  • 韓国にユーザーがいるアプリ・サービスを運営している企業
  • 韓国企業にAI技術を提供している企業

米国カリフォルニア州の規制|AB 2013

訓練データの開示義務

2026年1月1日、カリフォルニア州でAB 2013(生成AI訓練データ透明性法)が施行されました。

読者
読者

カリフォルニアの法律は何を求めているんですか?

森川
森川

生成AIの訓練に使用したデータセットの概要を、Webサイトで公開する義務があります。著作権の有無、個人情報の含有など、12項目の開示が必要です。

AB 2013で開示が必要な12項目(主なもの):

  • データセットの出所・所有者
  • データの種類(テキスト、画像、音声など)
  • 著作権・商標・特許の有無
  • 購入・ライセンス契約の有無
  • 個人情報の含有有無
  • 合成データの使用有無
  • データのクリーニング・加工方法
適用範囲の広さ

AB 2013には売上や従業員数の閾値がありません。カリフォルニア州民が利用可能な生成AIシステムであれば、無料・有料を問わず、2022年1月1日以降にリリースまたは大幅改修されたすべてのシステムが対象です。

違反時のリスク

AB 2013はカリフォルニア州の不正競争防止法(UCL)に基づいて執行されます。これにより:

  • 州司法長官による執行
  • 民間訴訟の可能性
  • 差止命令・損害賠償

日本・韓国・米国の比較

3つの規制アプローチ

読者
読者

3つの国の規制を比較すると?

森川
森川

日本は「促進型」、韓国は「規制型」、米国(カリフォルニア)は「透明性型」と整理できます。それぞれのアプローチを表にまとめました。

3カ国のAI規制比較:

項目 日本 韓国 米国CA州
施行時期 2025年9月 2026年1月 2026年1月
罰則 なし あり あり(UCL)
域外適用 なし あり あり
主な対象 国・政府 高影響AI・生成AI 生成AI
アプローチ 促進・自主規制 包括規制 透明性義務

日本企業への影響度

対象企業 影響度 必要な対応
国内のみで事業展開 自主的なガイドライン遵守
韓国向けサービス提供 韓国AI基本法への対応必須
米国向けサービス提供 AB 2013への対応必須
グローバル展開 最高 複数規制への同時対応

日本企業が今すぐ対応すべきこと

ステップ1:影響範囲の確認

読者
読者

具体的に何から始めればいいですか?

森川
森川

まず、自社のAIサービスがどの国の規制に該当するか確認しましょう。韓国や米国にユーザーがいれば、すでに規制対象の可能性があります

手順 AI規制対応の基本ステップ
1
影響範囲の確認

自社AIサービスのユーザー所在地を確認。韓国・米国カリフォルニアにユーザーがいる場合は規制対象の可能性。

2
訓練データの棚卸し

生成AIを使用している場合、訓練データの出所、著作権状況、個人情報の有無を整理。AB 2013対応の基礎情報となる。

3
高影響AIの特定

医療、金融、教育、公共サービスなどの分野でAIを使用している場合、韓国AI基本法の「高影響AI」に該当する可能性を検討。

4
開示文書の準備

AB 2013に基づく訓練データ概要、韓国向けのAI生成コンテンツ表示など、必要な開示文書を準備。

ステップ2:社内体制の整備

対応すべき社内体制:

  • 法務・コンプライアンス部門との連携
  • AI利用ポリシーの策定・更新
  • 従業員へのトレーニング
  • 監査証跡の記録保持
専門家への相談

AI規制は複雑で変化が速いため、専門家への相談が有効です。合同会社四次元のようなAI導入支援の専門家は、規制対応も含めたサポートを提供しています。

ステップ3:継続的なモニタリング

AI規制は今後も変化が予想されます。特に注視すべき動向:

  • 韓国:罰則適用の猶予期間終了時期
  • 米国:連邦レベルのAI規制法案の動き
  • EU:2026年8月の高リスクAI規制本格適用
  • 日本:AI戦略本部による追加ガイドライン

まとめ

2026年、AI規制の波がアジアにも本格的に到来しました。

日本AI新法:

  • 2025年6月公布、9月に一部施行
  • 罰則なし、自主規制重視
  • AI戦略本部が政策を推進

韓国AI基本法:

  • 2026年1月22日施行
  • 罰則あり、域外適用あり
  • 高影響AI・生成AIに具体的義務

米国カリフォルニア州(AB 2013):

  • 2026年1月1日施行
  • 訓練データの12項目開示義務
  • UCL違反として執行可能

日本の法律には罰則がなくても、海外展開している企業は韓国・米国の規制への対応が必須です。今のうちに自社の影響範囲を確認し、必要な体制整備を進めましょう。


よくある質問(記事のおさらい)

Q
Q1. 日本のAI新法には罰則がありますか?
A

いいえ、日本のAI新法には企業への罰則規定がありません。自主規制とガイドラインを重視する「ソフトな規制」アプローチを採用しています。

Q
Q2. 韓国AI基本法はいつから施行されましたか?
A

2026年1月22日に施行されました。罰則規定があり、韓国市場に影響を及ぼす海外企業にも適用される「域外適用」が特徴です。

Q
Q3. 日本企業も韓国やカリフォルニアの規制に従う必要がありますか?
A

韓国にユーザーがいる場合は韓国AI基本法、カリフォルニア州民が利用可能な生成AIを提供している場合はAB 2013の対象となる可能性があります。

Q
Q4. カリフォルニア州のAB 2013で開示が必要な情報は?
A

訓練データの出所、著作権の有無、個人情報の含有、合成データの使用など12項目の開示が必要です。Webサイトでの公開が義務付けられています。

Q
Q5. AI規制対応で最初に何をすべきですか?
A

まず自社AIサービスのユーザー所在地を確認し、どの国の規制に該当するかを把握しましょう。合同会社四次元のような専門家への相談も有効です。

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