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推論(Inference)とは?AIの「学習」と「使う」の違いを解説
AI用語解説

推論(Inference)とは?AIの「学習」と「使う」の違いを解説

2025-11-02
2025-12-10 更新

ChatGPTに質問するたびに、裏側では「推論」が行われています。AIの「学習」と「推論」——この2つの違いを理解すれば、AI活用のコストや性能がより深く理解できます。

「ChatGPTの利用料金は、なぜ使うたびにかかるのか?」

この疑問の答えが、「推論(Inference)」という概念にあります。

AIの世界では「学習」と「推論」は明確に区別されており、それぞれ異なるコストと計算リソースが必要です。

この記事では、AIの推論について、学習との違いから最新動向まで解説します。

推論とは?

一言で言うと

推論とは、学習済みのAIモデルを実際に使って、新しいデータから結果を出力するプロセスです。

  • 学習:AIモデルを「作る」段階
  • 推論:AIモデルを「使う」段階

ChatGPTに質問するとき、裏側では推論が行われています。

読者
読者

学習と推論って、具体的にどう違うんですか?

吉村(AIコンサルタント)
吉村(AIコンサルタント)

例えるなら、学習は「教科書を読んで勉強する」こと、推論は「テストで問題を解く」ことです。ChatGPTは何度も学習を繰り返して賢くなり、私たちが質問するたびに推論で回答を生成しているんです。

推論の仕組み

推論のプロセスは以下のように進みます:

入力データ学習済みモデル(内部で計算処理) → 出力(予測・生成結果)

LLMの場合、入力は「プロンプト(質問文)」、出力は「回答テキスト」です。モデルは入力を受け取り、学習で獲得したパターンに基づいて、次に来る単語を確率的に予測・生成します。

学習 vs 推論の比較

項目 学習(Training) 推論(Inference)
目的 モデルを作る モデルを使う
頻度 一度(または定期的) 継続的・リアルタイム
重視点 精度・学習効率 速度・低遅延
計算量 非常に大きい 比較的小さい
GPU数 数十〜数千台 1〜数台
時間 数週間〜数ヶ月 数秒〜数ミリ秒

学習のコスト

大規模モデルの学習には莫大なコストがかかります。

  • GPT-3:学習に1,287MWhの電力消費(米国130世帯の年間消費量)
  • GPT-4:開発コスト推定約7,000万ドル(約100億円)
  • Gemini 1:開発コスト推定1.5億ドル以上(約200億円以上)

推論のコスト

一方、推論は1回あたりのコストは小さいものの、「使うたびに」発生します。

長期的なコスト

学習は一度で済みますが、推論はユーザーがリクエストするたびに発生します。利用者が増えるほど推論コストは積み重なり、多くのサービスでは長期的に見ると推論コストの方が大きくなります。

LLMにおける推論の特徴

トークン単位の生成

LLMの推論は、トークン(単語や文字の単位)を1つずつ生成する「自己回帰」方式です。

  • 入力: "AIとは"
  • 生成1: "人工"
  • 生成2: "知能"
  • 生成3: "の"
  • 生成4: "略"
  • ...

このため、長い回答を生成するほど推論コストが増加します。

推論時間に影響する要素

  1. モデルサイズ:パラメータが多いほど遅い
  2. 入力長:プロンプトが長いほど遅い
  3. 出力長:生成するトークン数が多いほど遅い
  4. バッチサイズ:同時処理数
読者
読者

APIの料金が入力と出力で別々に計算されるのは、そういう理由なんですね。

吉村
吉村

その通りです。入力トークンと出力トークンで計算コストが異なるため、多くのAPIでは別々の料金体系になっています。

推論の最適化技術

推論を高速化・低コスト化するための様々な技術があります。

1. 量子化(Quantization)

モデルのパラメータを低精度に変換して、メモリ使用量と計算量を削減します。

→ 詳しくは「量子化とは?」をご覧ください

2. KVキャッシュ

一度計算した「Key」と「Value」を保存し、再計算を省略する技術です。長い会話での推論を高速化します。

3. バッチ処理

複数のリクエストをまとめて処理することで、GPUの利用効率を高めます。

4. モデル蒸留

大きなモデルの知識を、より小さなモデルに「蒸留」して転写します。小さなモデルで同等の性能を実現できます。

2024年のトレンド:推論時計算

o1モデルの登場

OpenAIは2024年9月、「o1」モデルを発表しました。このモデルは推論時により多くの計算を行うことで、推論能力を大幅に向上させています。

  • GPT-4o:国際数学オリンピック問題で正答率13%
  • o1:同じ問題で正答率83%

「考える」AIの時代

従来のAIは「即答」が基本でしたが、o1のような「推論モデル」は時間をかけて「考える」ことで、より複雑な問題を解けるようになりました。

  • 従来のLLM: プロンプト → 即座に回答
  • 推論モデル: プロンプト → 思考プロセス → 回答
推論時計算のトレードオフ

推論時の計算を増やすと精度は上がりますが、応答時間とコストも増加します。タスクの難易度に応じて、適切なモデルを選ぶことが重要です。

推論環境の選択肢

クラウドAPI

ChatGPTClaudeGeminiなどのAPIを利用。

  • メリット:初期投資不要、スケーラブル
  • デメリット:利用量に応じたコスト、データを外部に送信

オンプレミス

自社サーバーでモデルを運用。

  • メリット:データが外部に出ない、長期的にはコスト削減可能
  • デメリット:GPU等の初期投資、運用負荷

エッジ推論

スマートフォンやPCなど、端末上で推論を実行。

  • メリット:低遅延、オフライン対応、プライバシー保護
  • デメリット:モデルサイズに制限、端末性能に依存

まとめ:AIを「使う」ということ

推論は、AIモデルを実際に活用するプロセスです。

推論の重要ポイント:

  • 学習済みモデルで新しいデータから結果を出力
  • 学習は「作る」、推論は「使う」
  • 使うたびにコストが発生(長期的には学習より高くなることも)
  • 量子化、KVキャッシュ、バッチ処理などで最適化
  • 2024年は「推論時計算」で精度向上するトレンド
  • クラウド、オンプレミス、エッジなど環境の選択肢

AI活用を検討する際は、「学習コスト」だけでなく「推論コスト」も含めた総合的な視点が重要です。

Tags

推論 Inference LLM AI基礎
吉村 この記事の筆者

吉村

AI INSIGHT

大学でIT教育に20年携わり、わかりやすい解説に定評あり。現在は合同会社四次元にてAI初心者向けの入門コンテンツを担当。

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