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ファインチューニングとは?自社専用AIを作る方法
技術解説

ファインチューニングとは?自社専用AIを作る方法

2025-12-09
2025-12-15 更新

「ChatGPTをもっと自社向けにカスタマイズしたい」——そんな要望に応えるのが「ファインチューニング」です。既存のAIモデルを追加学習させて、自社専用AIを作る方法をこの記事で解説します。

「うちの会社専用のAIが欲しい」——こんな要望をよく聞きます。

ゼロからAIを作るのは現実的ではありませんが、既存のモデルをカスタマイズすることは可能です。それが「ファインチューニング」です。

ファインチューニングとは

読者
読者

ファインチューニングって、AIを一から作ることとは違うんですか?

安藤(エンジニア)
安藤(エンジニア)

違います。例えるなら、「一から料理を習う」のではなく、「プロの料理人に、うちの店の味を覚えてもらう」イメージです。すでに基本ができているAIに、追加の知識やスキルを教え込むんです。

定義

ファインチューニングとは

ファインチューニング(Fine-tuning)とは、すでに学習済みの大規模言語モデル(LLM)を、特定のタスクや領域に適応させるための追加学習のことです。モデルをゼロから学習させるよりも、はるかに少ないデータとコストで、高い性能を実現できます。

なぜファインチューニングが必要なのか

GPT-4やClaudeはすでに高性能ですが、以下のような場合に限界があります:

⚠️ 汎用AIの限界
  • 自社特有の専門用語を知らない
  • 業界固有の知識が不足している
  • 特定のトーン・スタイルで回答できない
  • 機密情報を扱えない

ファインチューニングを行うと、これらの問題を解決できます。

ファインチューニング vs プロンプトエンジニアリング vs RAG

読者
読者

プロンプトを工夫するのとは何が違うんですか?

安藤
安藤

良い質問です。カスタマイズには3つのアプローチがあり、それぞれ特徴が違います。

アプローチ コスト 効果 難易度
プロンプトエンジニアリング 限定的
RAG
ファインチューニング

プロンプトエンジニアリング

プロンプト(指示文)を工夫して、AIの回答を調整する方法。最も手軽だが、効果には限界がある。

RAG(検索拡張生成)

外部データベースから関連情報を検索し、AIに渡して回答させる方法。ファインチューニングより手軽に、最新情報や自社データを活用できる。

ファインチューニング

モデル自体を追加学習させる方法。最も効果が高いが、コストと専門知識が必要。

どれを選ぶべきか?

まずはプロンプトエンジニアリングを試し、足りなければRAGを検討。それでも不足する場合にファインチューニングを検討するのがおすすめです。

ファインチューニングの具体的な手法

1. フルファインチューニング

モデル全体のパラメータを更新する方法。最も効果が高いが、計算コストも高い。

📋 フルファインチューニングの特徴
  • すべてのパラメータを更新
  • 最も高い性能を達成可能
  • 大量のGPUメモリが必要
  • オーバーフィッティングのリスクあり

2. LoRA(Low-Rank Adaptation)

読者
読者

LoRAって最近よく聞きますが、何が違うんですか?

安藤
安藤

LoRAは「効率的なファインチューニング」の手法です。モデル全体ではなく、一部の小さな行列だけを学習させます。結果として、必要なメモリは大幅に減り、学習も速くなります。

LoRAのメリット
  • 必要なメモリが大幅に削減
  • 学習速度が向上
  • 元のモデルを壊さない
  • 複数の用途に切り替え可能

3. QLoRA

LoRAをさらに効率化した手法。量子化(数値の精度を下げる)を組み合わせることで、さらに少ないメモリで学習できます。

手法 必要メモリ 精度
フルファインチューニング 非常に高い 最高
LoRA 中程度 高い
QLoRA 低い(3GB〜) 高い

実際のファインチューニング手順

Step 1: データセットの準備

最も重要なステップです。

データセットの品質が命

ファインチューニングの成否は、データセットの品質で決まります。1000件の低品質データより、100件の高品質データのほうが効果的です。

データ準備のポイント
  • 質問と回答のペアを用意
  • 一貫したフォーマットを維持
  • エッジケース(例外パターン)も含める
  • バランスの取れたデータ分布

Step 2: ベースモデルの選択

目的に合ったベースモデルを選びます。

用途 おすすめモデル
一般的なタスク Llama 3.1(8B)
コーディング CodeLlama
日本語特化 ELYZA、Japanese-GPT

Step 3: 学習の実行

読者
読者

学習には何が必要ですか?

安藤
安藤

GPUが必要ですが、QLoRAなら3GBのVRAMでも可能です。Google ColabやKaggleの無料GPUでも始められますよ。

Step 4: 評価とテスト

学習後は、適切な評価指標で性能を確認します。

📋 評価のポイント
  • 学習データ外でテスト
  • 人間による定性評価も実施
  • オーバーフィッティングをチェック
  • 元の汎用性能が落ちていないか確認

ファインチューニングのコストと時間

必要なリソース

項目 フル LoRA/QLoRA
GPU 16GB以上 × 複数 3-16GB × 1
学習時間 数日〜数週間 数時間〜数日
データ量 数万〜数十万件 数百〜数千件

主要プラットフォーム

学習環境の選択肢
  • Google Colab:無料枠あり、入門に最適
  • Kaggle:無料GPU、週30時間まで
  • AWS/GCP/Azure:本格的な学習向け
  • Hugging Face:学習とデプロイを統合

よくある失敗と対策

オーバーフィッティング

オーバーフィッティングとは

学習データを「丸暗記」してしまい、新しいデータに対応できなくなる現象です。特に小さなデータセットで発生しやすい。

対策:

  • データ量を増やす
  • 学習を早めに停止する(Early Stopping)
  • 正則化を適用する

汎用性能の低下

ファインチューニングにより、特定タスクの性能は上がっても、元の汎用的な能力が落ちることがあります。

対策:

  • 汎用タスクのデータも混ぜる
  • LoRAなど、元のモデルを保持する手法を使う

まとめ

ファインチューニングについて、重要なポイントをまとめます。

  • 定義:学習済みモデルを特定タスク向けに追加学習させる技術
  • 他の手法との違い:プロンプト < RAG < ファインチューニング(効果順)
  • 主な手法:フル、LoRA、QLoRA(効率順)
  • 重要なポイント:データセットの品質が最も重要
  • 始め方:無料GPUでQLoRAから試すのがおすすめ

「自社専用AI」は、もはや夢ではありません。まずは小規模なデータセットでLoRAを試してみることをおすすめします。

よくある質問

Tags

ファインチューニング LLM カスタムAI 機械学習
安藤 この記事の筆者

安藤

AI INSIGHT

大手SIerでエンジニアとして10年勤務後、AI技術に魅了され専門家へ転身。現在は合同会社四次元にて技術面を主に担当。

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