「NVIDIAが強すぎて、他社は太刀打ちできない」
——そう言われ続けてきたAIチップ市場。しかしCES 2026で、その構図が大きく動きました。
NVIDIA、Intel、AMDの3社が次世代AIチップを一斉発表。さらにライバル同士だったNVIDIAとIntelが50億ドルの提携を発表するという、予想外の展開も。AIチップ戦争の最前線をお届けします。
NVIDIA Vera Rubin|10倍の性能向上
圧倒的なスペック
NVIDIA Vera Rubinって、どれくらいすごいんですか?
数字で言うと、推論性能50PFLOPSです。前世代のGrace Blackwellと比べて約10倍の性能向上。トークンあたりのコストも10分の1に削減されています。
NVIDIA Vera Rubinの主要スペック:
- 推論性能:50 PFLOPS(前世代比10倍)
- メモリ:HBM4 288GB/GPU
- トークンコスト:10分の1に削減
- 新チップ:6種類を同時発表
HBM4(High Bandwidth Memory 4)は、次世代の高帯域幅メモリです。従来のHBM3と比べて帯域幅が大幅に向上し、大規模なAIモデルの処理に必要な「データの移動速度」がボトルネックになりにくくなります。
メモリ不足という弱点
でも、何か問題もあるんですよね?
そうなんです。実はNVIDIAは2026年を通じて40%の生産削減を余儀なくされると言われています。原因はHBMメモリの供給不足。性能が良くても、作れなければ売れません。
この供給制約は、日本企業にも影響します。AIインフラを構築しようとしても、NVIDIAのGPUが手に入らない——そんな事態が続く可能性があります。
Intel Panther Lake|18Aプロセスで反撃
初の18Aチップ量産
Intelも新しいチップを出したんですか?
はい、「Panther Lake」(Core Ultra 300シリーズ)を発表しました。Intelの18Aプロセスで製造される初めてのチップで、従来比でCPU/GPU性能が50%向上しています。
Intel Panther Lakeの特徴:
- 製造プロセス:Intel 18A(最先端)
- 性能向上:CPU/GPU 50%アップ
- 用途:ノートPC、AIワークステーション
- 発売時期:2026年中
NVIDIAとの提携
NVIDIAとIntelって、ライバルじゃないんですか?
驚きですよね。CES 2026で発表されたのは、NVIDIAがIntel株に50億ドル投資するという提携です。x86アーキテクチャとNVIDIAのRTX技術を組み合わせたSoCを共同開発するそうです。
背景には、AMD、Qualcomm、Appleのカスタムシリコンの台頭があります。NVIDIAとIntelが手を組むことで、x86+GPU統合型の強力なソリューションを提供し、競合に対抗する狙いです。
AMD Helios|NVL72への対抗馬
72基のMI455X
AMDも負けていません。「Helios」と呼ばれる新しいAIラックシステムを発表しました。
| 項目 | AMD Helios | NVIDIA NVL72 |
|---|---|---|
| GPU数 | 72基(MI455X) | 72基(Rubin) |
| 用途 | データセンターAI | データセンターAI |
| 発表 | CES 2026 | CES 2026 |
NVIDIAと同じ72基ってことは、完全に対抗馬ですね。
はい、AMDは「世界最高のAIラック」と自称しています。NVIDIAが供給制約を抱える中、AMDにとってはシェアを奪うチャンスです。価格競争力があれば、日本企業もAMDを選択肢に入れるケースが増えるでしょう。
Ryzen AI 400シリーズ
コンシューマー向けでは、「Ryzen AI 400」(Gorgon Point)も発表されました。
Ryzen AI 400 HX 474の主要スペック:
- コア数:12コア
- ブーストクロック:5.2 GHz
- 内蔵GPU:16 RDNA 3.5コア
- SKU:7種類
日本企業への影響
半導体サプライチェーン
日本企業にはどんな影響がありますか?
大きく3つあります。まず、ソニー、パナソニック、トヨタなどの製品開発に使うAIチップの選択肢が広がります。次に、NVIDIAのメモリ不足は日本の半導体サプライチェーンにも影響します。そして、研究機関やスタートアップのGPU調達コストが変動する可能性があります。
AIチップ市場の競争激化は、半導体関連株に影響を与えます。NVIDIA一強から3社競争になれば、株価の変動リスクも高まります。投資判断は慎重に。
どのチップを選ぶべきか
| ユースケース | おすすめ |
|---|---|
| 大規模データセンター | NVIDIA Vera Rubin(供給が確保できれば) |
| コスト重視 | AMD Helios/MI455X |
| PCワークステーション | Intel Panther Lake |
| エッジAI | AMD Ryzen AI 400 |
まとめ
CES 2026のAIチップ戦争、ポイントをまとめます。
NVIDIA Vera Rubin:
- 推論性能50PFLOPS(10倍向上)
- トークンコスト10分の1
- ただしメモリ不足で40%生産削減
Intel Panther Lake:
- 初の18Aプロセス量産
- CPU/GPU性能50%向上
- NVIDIAと50億ドルの提携
AMD Helios:
- 72基MI455X搭載ラック
- NVIDIAのNVL72に対抗
- 価格競争力で勝負
AIチップ市場は「NVIDIA一強」から「3社競争」の時代へ。日本企業にとっては選択肢が広がる一方、どのチップを選ぶかの判断がより重要になります。
よくある質問(記事のおさらい)
推論性能が約10倍向上し、50PFLOPSを達成しています。トークンあたりのコストも10分の1に削減されました。
NVIDIAがIntel株に50億ドル投資し、x86アーキテクチャとRTX技術を組み合わせたSoCを共同開発します。
「Helios」というAIラックシステムで、72基のMI455Xチップを搭載。NVIDIAのNVL72と同じ規模で対抗します。
AIチップの選択肢が広がる一方、NVIDIAのメモリ不足により調達難が続く可能性があります。AMD製品も検討対象に入れるべきです。