ChatGPT APIとは?料金体系からシステム組み込み手順まで徹底解説
ChatGPT APIの基本から料金体系、自社システムへの組み込み手順まで徹底解...
RAG(検索拡張生成)の仕組みとメリットを初心者向けに解説。ChatGPTなどの生成AIの弱点を補い、社内情報を活用したAIを構築する方法をわかりやすく説明します。
「RAGって最近よく聞くけど、何のこと?」
「ChatGPTをもっと賢く使いたいけど、どうすればいい?」
このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
RAG(ラグ)は、生成AIの精度を飛躍的に向上させる技術として注目を集めています。本記事では、RAGの仕組みからビジネス活用まで、初心者向けにわかりやすく解説します。

RAGとは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。
一言で説明すると、「生成AIが回答を作る前に、外部の情報を検索して参照する」という仕組みです。
RAGの仕組みは「オープンブック試験(教科書持ち込みOKのテスト)」に例えられます。
教科書を見ながら回答できれば、より正確な答えが出せますよね。RAGもまさにその原理です。

でも、ChatGPTはインターネットの情報を学習しているから、すでに色々知っているんじゃないですか?

確かにそうですが、ChatGPTには「知らないこと」や「古い情報」という弱点があるんです。RAGはその弱点を補う技術なんですよ。

RAGが注目される理由は、生成AI(LLM)が抱える3つの課題を解決できるからです。
ChatGPTなどの生成AIは、学習していない情報には答えられません。
答えられない情報の例:
生成AIには「ナレッジカットオフ」という学習データの最終更新日があります。それ以降の出来事は知りません。
例えば、ChatGPTに「現在の日本の総理大臣は?」と聞いても、学習データが古ければ誤った回答が返ってきます。
生成AIは、知らないことでも「もっともらしい回答」を作ってしまうことがあります。これをハルシネーション(幻覚)と呼びます。
ハルシネーションの例:
RAGを使えば、信頼できる外部情報を参照するため、これらの課題を大幅に軽減できます。

RAGの仕組みは、大きく3つのステップで構成されています。
ユーザーの質問に関連する情報を、外部のデータベースから検索して取得します。
検索対象の例:
取得した情報をユーザーの質問と組み合わせて、生成AIへの入力(プロンプト)を作成します。
プロンプトの構成:
拡張されたプロンプトをもとに、生成AIが回答を作成します。

なんだか複雑そうですね…

ユーザー側から見れば、普通にチャットで質問するだけです。裏側でRAGが自動的に情報を検索してくれるので、より正確な回答が返ってくるという仕組みですよ。
例えば「品川駅から名古屋駅に12時に着きたい。何時発の新幹線に乗ればいい?」という質問。
RAGなしの場合:
→ 学習データにない時刻表なので、架空の時刻を回答してしまう
RAGありの場合:
→ 最新の時刻表データベースを検索し、正確な発車時刻を回答

生成AIに新しい知識を与える方法として、RAGの他に「ファインチューニング」があります。
ファインチューニングは、生成AIに追加のデータを学習させて、AIそのものを強化する方法です。
| 項目 | RAG | ファインチューニング |
|---|---|---|
| 仕組み | 外部情報を検索して参照 | AIに追加学習させる |
| 導入コスト | 低い | 高い |
| 情報の更新 | 簡単(データベース更新のみ) | 困難(再学習が必要) |
| 必要な設備 | 通常のサーバー | 高性能GPU |
| 専門知識 | 比較的少ない | 機械学習の専門知識が必要 |
ファインチューニングには以下のような高いハードルがあります。
RAGなら、これらの壁をすべて回避できます。LLMを学習させず、外部情報を検索させるだけだからです。
RAGを活用したAIチャットボット導入支援 
RAGを導入することで得られるメリットを詳しく解説します。
信頼できる外部情報を参照するため、ハルシネーションを大幅に減らせます。ファクトチェックにかかる時間も短縮できます。
RAGでは、外部データベースを更新するだけで最新情報を反映できます。ファインチューニングのような再学習は不要です。
ファインチューニングと比較して、導入・運用コストを大幅に抑えられます。
業務マニュアル、FAQ、製品仕様書など、社内にある非公開情報をAIに活用させることができます。

RAGは様々なビジネスシーンで活用されています。
社内規程や業務マニュアルをRAGのデータベースに登録し、従業員からの問い合わせに自動対応。
効果:
製品マニュアルやFAQをRAGで参照し、顧客からの問い合わせに正確に回答。
効果:
製品情報、価格表、競合比較資料をRAGで参照し、営業担当者の質問に即座に回答。
効果:
大阪府守口市では、ゴミ分別の問い合わせにRAGを活用したチャットボットを導入。人が対応する電話相談の件数が約15%減少し、時間外や土日も対応可能になりました。

RAGは万能ではありません。導入時に押さえておくべき注意点を解説します。
RAGの回答品質は、参照する外部情報の品質に大きく左右されます。
対策:

「ゴミを入れればゴミが出てくる」というデータサイエンスの格言があります。RAGでも、良質なデータを用意することが成功の鍵です。
RAGは外部情報をすべて検索対象にするため、機密情報が意図せず回答に含まれる可能性があります。
対策:
質問に対して適切な情報が検索されないと、回答品質が低下します。
対策:
RAGは外部情報を参照して回答するため、外部情報にない独自のアイデアを生み出すことは苦手です。
対策:

RAGで用いられる主な検索方式を紹介します。
単語の「意味」を数値化(ベクトル化)して、類似度で情報を検索する方式です。
メリット:
デメリット:
単語や文字列のパターンを照合して検索する方式です。
メリット:
デメリット:
ベクトル検索とキーワード検索を組み合わせた方式です。それぞれの弱点を補い合えるため、多くの場合はハイブリッド検索が推奨されています。
RAGの特徴をまとめると以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成) |
| 仕組み | 外部情報を検索してAIの回答を補強 |
| 解決する課題 | 知識不足、古い情報、ハルシネーション |
| メリット | 高精度、低コスト、更新が簡単 |
| 主な用途 | 社内FAQ、カスタマーサポート、営業支援 |
RAGは、生成AIをビジネスで実用的に活用するための重要な技術です。社内情報を活用した高精度なAIチャットボットを構築したい場合は、RAGの導入を検討してみてください。
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